| ダダ父通信(1) | 声かけのポイント |
| 自閉症児は言葉をうまく使えません。かなり語彙が増えても、複雑な構文は難しいです。ということは、理解するときにも同じような困難を感じているはずです。計算はできても文章題は苦手という子が多いですね。だから、声かけには工夫が必要です。 |
- ●単語を切って、明瞭に。
- 紙ゴミなどを散らかしたとき、
- 「散らかしちゃダメよ。汚れるから。ゴミを拾いましょうね。教室が汚れるとみんなが困るでしょう。だから、ちゃんとゴミを拾わなければダメですよ」(×)
- というような指示、声かけはよくありません。 たくさんの説明や優しい言い回しは、場合によっては子どもを混乱させてしまいます。 たとえば「みんなが困る」(みんなとは誰と誰と誰かが明確ではない、困るというのは具体的にどんな様子であるのかわかりにくい)、 「ちゃんと」(具体的にどのような状態を指すのかわかりにくい)といった言葉は、とても理解しにくいのです。
- だから、こんな場合は
- 「ゴミを、拾ってください」(○)
- とはっきり簡明に言えばよいです。
- ●ファジーな言い回しはさける。
- 「ちゃんと」という言い回しはわかりにくいです。同じように「きちんと座る」と言うときの「きちんと」も理解しにくい言葉です。
- では、どうすればよいのかというと、「きちんと」の内容をより具体的に教えればよいのです。「きちんと座る」では、足の位置、手の位置を視覚的にわかるように示します。床や机にテープを貼って明示してもよいでしょう。あるいは「きちんと座っている状態」の写真を見せて説明してもよいでしょう。
- ファジーな言い回しには、人称もあります。自閉症児は人称代名詞の使い方が不得手です。それは人称が人と人の関係性によって変わってしまうからです。
- 入学式の写真撮影のときにカメラマンの方が「おにいちゃん、ちゃんと座って」というような声かけをしました。これではなかなか通じません。「ちゃんと」についてはすでに述べましたが、何よりも「おにいちゃん」と呼ばれても自分のことだとは思えないからです。カメラマンの方は名前を知らないので無理もないのですが、教室では「ダダくん」と言わないと通じません。
- ●全体への声かけはうまく聞き取れません。
- これは次第にできていくと思われますが、ダダにとって「みんな」に向けたメッセージを聞き取るのはとても困難です。なぜなら「みんな」がどこからどこまでを指しているのか、自分が「みんな」の一員であるのかどうか、とてもわかりづらいからです。
- わかっていないようだったら「ダダくん、…」というちょっとした注意喚起をしていただけたらと思います。
- ●丁寧な言葉で
- 早くから「です、ます調」の丁寧な言い方を教えてきました。親に対しては最初から「お父さん、お母さん」と呼ばせました。犬は「わんわん」ではなく「犬」と教えました。「…ちょうだい」ではなく「…ください」と言うようにしています。
- 私たちは相手や状況によって、丁寧な言い回しと簡略な言い回しを使い分けていますが、自閉症児にとっては状況を読むことがもっとも難しい作業なのです。また、私たちは成長に従って幼児語を普通の言い方に変換させていきますが、自閉症児にとっては一度覚えた言い回しを変えることが難しいのです。乱暴な言い方は放っておいてもお友達から習ってしまいます。
- だから家では一貫して丁寧な言い回しを教えています。学校でもなるべくそうしていただければと思います。
- これは幼稚園の先生方も最初はかなり抵抗があったそうです。でも、「子どもらしい」「かわいい」言い方というのは、大人がそう感じるものであり、大人の身勝手でもあります。成人した障害者が犬のことを「わんわん」と呼ぶのは悲しいですよね。
- ●否定を肯定に言い換える
- ドアを開けっ放しにして部屋に入ってきたとき
- 「ドアを開けっ放しにしない」(×)
- 「ドアを閉めます」(○)
- 制作の場で粘土を投げたとき
- 「粘土をなげない」(×)
- 「粘土は机に置きます」(○)
- トイレに行ってパンツをおろしたまま出てきたとき
- 「恥ずかしいからやめなさい」(×)
- 「パンツを上げます」(○)
- そしてそれができたら思いっきりほめます。そしてそのうちとくにほめなくても できるようになれば大成功。
- 私たちはいつも、どうすればほめることができるかを考えています。だから、 やってはいけないことを「ダメ」と否定するのではなく、やるべきことを具体的に 示して、それができたときにほめます。
| 声かけのポイント | 1999.4. bxr01340@nifty.ne.jp ダダ父 |
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