ダダ父通信(5) 余暇をどう過ごすか pdf 
 自閉症の人々は「お休み」が苦手です。何でも自由にしていいよ、と言われるとかえって困ってしまいます。何をしてよいかわからないという状況は、けっこうつらいものがあるようで、感覚刺激をくり返す常同行動や自傷などの問題行動も自由時間に起こることが多いのです。
 最近の統計によると、地域で安定した生活を送っている自閉症者には二つのポイントがあることがわかってきました。それは家事と余暇活動です。身の回りのことができることと余暇を豊かに過ごせることが、自閉症の人々にとってとても大切なことなのです。だから、そのための基礎づくりを幼児・学童期からしていく必要があります。

家事
 
 自分のことを自分でできることはもちろんですが、家の中でなんらかの役割をもつことは、家族の一員である証です。ハンディがあるからといって、ケアされるばかりではなく、人の役に立っているという実感はだれにとっても必要なことです。
 たとえば、朝新聞を取りに行く、おばあちゃんに「ごはんです」と伝える、といったことでもよいのです。掃除、洗濯、炊事は、家の中の役割をはたすことであると同時に、将来の自立につながります。
 自閉症児がクッキングを余暇活動の一つとして楽しんでいる例はたくさんあるようです。食べるという目的がはっきりしていること、レシピにそって手順通りに進めることができることなど、見通しが立ちやすいのでしょう。ダダの場合、野菜の皮むき、卵割り、米とぎなど、少しずつお手伝いをさせています。
 洗たくも手順のよくわかる仕事です。洗たく機の回る様子もダダの気をそそり、喜んでしてくれます。
 掃除は、何をするのか、どの範囲をすればよいのか、しっかりわかるとできるようです。ばくぜんと「きれいにしましょう」と言っても動けないのは自閉症らしいところです。
 
絵を描くこと
 
  いまでこそいつでもスケッチブックとペンを離さないほど絵の好きなダダですが、4才まではなぐり描きもできない子どもでした。クレヨンを持たせても筆力がなく、放り出してしまいます。最初はダダ母の腕を取って絵を描かせるだけだったのです(自閉症児に多いクレーン現象)。その数はやがて数千枚になりました。
 ほとんど話さなかったのでせめて絵ぐらい描いてほしいというダダ母の一念で絵を描くことを教えました。
 塗り絵は大部分ダダ母が塗り、点ほど残した白い部分をダダに塗らせて、「やったー、完成!」とほめていきました。線は、トレーシングペーパーを使い、手を添えながら下絵の電車をなぞり描きさせました。なぞることがめんどくさかったのか、やがて自分で描くようになりました。
 お絵かきの趣味は、ダダの生活を豊かにしたばかりではなく、外食や病院で待つときなどにとても役に立ち、私たち家族の活動に余裕をもたらしてくれました。
 
余暇活動の考え方の基本
 
  1. みんなですることだけが余暇活動ではない。
 むしろ一人でも楽しむことができるものととらえた方が、自閉症児にとってはよいです。この場合、みんなでなかよく、ということにとらわれるべきではありません。たとえば、シャンプーやお酒のラベルを集めることなど、子どもにとっては常識的じゃないな、ということでも、本人の楽しみになるならそれで十分余暇活動になるのです。
 
  2. 見通しが立ちやすいものを選ぶ。
 運動ではアスレチックがよかったです。番号順に回っていくので、運動場の遊具などよりも見通しが立ちやすいのです。アスレチックは、四肢の協調に弱さがある自閉症児の運動能力を伸ばすのに役立ちます。同じ道を帰らなくてよいのも自閉症児にはいいですね。
 
  3. できないから、とあきらめない。
 たとえば、インラインスケートは最初とうてい無理だろうなと思っていましたが、何度かやっているうちに楽しめるようになりました。ダダ家ではなんでもとりあえずやってみることにしています。
 
  4. 根気よく教えるとなんでも好きになる。
 何事もスモールステップで教える。少しずつ進歩していくのがわかると本人もうれしい。うれしいと好きになっていきます。ここでも「ほめる」ことなど強化を忘れないように。
 
  5. 素材を変えること、活動の種類を変えることで広げていく。
 たとえば、絵を描くことも、クレヨン、ペン、水彩、CGと素材を変えて広げていくことができます。また、ビーズ、ブロック、粘土、工作に展開させていくこともできます。最初作るものは、大好きな電車を利用しました。
 
  6. 複数の余暇活動を持つ。
 成人した自閉症の人々の調査によると、複数の余暇活動を持っていることも大切だそうです。私たちでも、これだけ、というのより、これもある、の方がいいですよね。
 いよいよ夏休みです。楽しいな〜、と言ってはみたものの、障害児の親にとって夏休みは悩みの季節でもあります。世に夏休みのキャンプ、イベントなどの情報はあふれていますが、障害児が1人で参加できるところはほとんどないのが現実です。  40日間の長丁場ですが、余暇や家事を楽しむぜっこうの機会でもあります。  がんばるぞ〜(^_^)
 
 余暇をどう過ごすか 1999.7. bxr01340@nifty.ne.jp ダダ父 
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